【10】脳腫瘍の覚醒下手術(その1)(手術室へと向かう〜全身麻酔から覚醒)

これは、脳のがんとも言われる脳腫瘍(G2、乏突起膠腫)を患ったときの体験記です。2015年7月に東京女子医大で脳腫瘍の覚醒下手術をしました。ここでは、手術室へ向かうところ〜術中に全身麻酔から覚醒したところまでについて書きたいと思います。
(※覚醒下手術とは意識がある状態で腫瘍の摘出を行う手術のことです。参考までに、こちらの記事もどうぞ。)

手術室へと向かう

2015年7月6日。手術当日は5時過ぎに起床しました。不安で眠れなかったりするのかと思いましたが、意外としっかり眠ることができました。それと、初めての手術を控えている割には意外と落ち着けていたようにも思います。

起きてからは、前日に準備しておいた手術室に持ち込む荷物を再度確認したり、薬を飲んだり、トイレに行ったり、歯を磨いたりしました。7時半ころには母が来ました。緊張感が増してくる中、家族の顔を見るとやはり気持ちが落ち着きます。移動までにはまだ少し時間があったので、その後も深呼吸したりして気持ちを落ち着かせながら過ごしていました。8時過ぎになったあたりから、手術着を着たりと手術の準備を始めました。8時半には手術室看護師さんが迎えに来ました。Facebookに「頑張ってきます」と投稿し、よし行くぞと気持ちを奮い立たせて病室を後にしました。

病室のある5階から手術室のある2階へはエレベーターで移動しました。そこから少し歩くと大きな扉があります。手術室があるエリアの入り口です。ここから先は家族も入れません。扉の前で母に頑張ってくるからと伝え、僕は扉の奥へと進みました。中には思っていた以上に多い10数部屋もの手術室がありました。しばらく歩いた先に僕が手術を行う手術室がありました。一旦、部屋の前にある椅子に座って、名前や手術内容の確認をしたり、準備を行うスタッフさんの紹介を受けたりしました。そして、それらを終えると看護師さんに「じゃ入りましょうか」と言われ、手術室に入りました。

手術準備開始

手術室に入ると目の前には手術台、そして、奥にはMRIがありました。インテリジェント手術室といって、手術室にMRIがあるのが東京女子医大の特徴の一つです。術中にMRI撮影ができるので腫瘍の取り残しを減らすことができます。

僕は部屋の真ん中にある手術台に少し緊張しながら横になりました。手術台は乗ってみると意外と幅が狭く感じました。そうしている間にも周りではスタッフの方がテキパキと動いて準備を進めてくれています。

すると、看護師さんが「CDかけましょうか」と言いました。

手術室には好きなCDを持ち込むことができました。なので、僕は「大橋トリオ」と「赤い靴」というお気に入りの2組からCDを1枚ずつ選んで持ってきていました。看護師さんがその2枚から適当に選んで音楽をかけると、赤い靴の「ヒルニナルレイン」という曲が流れてきました。

僕は心の中で、違和感あるなぁ…とつぶやきました。どんなに好きなアーティストの曲でも、さすがに手術室との組み合わせには違和感を感じずにはいられませんでしたが、その違和感が面白くなってきて、なんだか少しリラックスできました。そうこうしているうちに全身麻酔をするためマスクをつけられ、あっという間に意識を失いました。

全身麻酔から覚醒

「起きてくださーーい!!」麻酔科医のK先生の大きな声で目が覚めました。全身麻酔から目覚めて最初に思い浮かんだ言葉が「声でかいなー」になるとは予想外でした。全身麻酔から覚めるとICUで…といった話をよく耳にしますが、僕の場合はむしろここからが本番です。

目を開けるとスマホくらいの大きさのモニターが視界に入ってきました。しばらくそれを眺めていると、最初は何も映っていなかった画面にWindows8の文字が浮かび上がってきました。へ〜、これWindows8マシンで動いているんだと思ったのを覚えています。こういうところを印象的なこととして覚えているのはソフトウェアエンジニアだからでしょうか。

そして、まず最初に呼吸の確認を行いました。指示を受けて何度か深呼吸しました。全身麻酔中は自発呼吸ができないそうなので、ちゃんと呼吸ができる状態に戻ったかどうかを確認したのかなと思います。こうしているうちに、だんだんと、ついに始まるんだという実感が湧いてきました。ちなみに覚醒と言ってもそれほどクリアに意識がある状態にはなりません。少しぼんやりした状態といった感じです。意識をクリアにしてしまうと恐怖心が湧いてしまいパニックになりやすくなるので、あえてそのような状態にするそうです。お酒を飲んで酔っ払っているような感覚というのが一番近いかもしれません。

 

脳腫瘍の覚醒下手術(その2)(覚醒下ではこんな事が起きていた)
・覚醒下ではこんな事が起きていた

脳腫瘍の覚醒下手術(その3)(手術中に手が動かなくなる〜ついに、手術終了)

・手術中に手が動かなくなる
・手術中、唯一のピンチ
・手術終盤、術中MRI
・ついに、手術終了

この記事は個人の体験に基づいて書いたものです。病状などは人それぞれ異なるものなので、気になることがあったら必ず、主治医に確認してください。本ページについてご質問等ありましたらお問い合わせページからお願いします。

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