【5】脳腫瘍の覚醒下手術をすることを決意

これは、脳のがんとも言われる脳腫瘍(G2、乏突起膠腫)を患ったときの体験記です。ここでは、東京女子医大で覚醒下手術をすると決める上での葛藤と、決断に至る経緯について書きたいと思います。そこには、決断を後押ししてくれた心に残る言葉がありました。何かに迷った時は今でもその言葉を思い出します。

そもそも覚醒下手術とは?

覚醒下手術とは名前の通り意識のある状態(覚醒下)で脳腫瘍の摘出を行うというものです。なぜそのようなことを行うかというと、生存率を上げる事と術後の生活の質(QOL)を高める事を、できるだけ両立させたいからということになります。

術後の生存率を上げるためにはできるだけ多く腫瘍を取らないといけません。一方で、大きく切ってしまうとたくさん脳を傷つけることにもなり、そうすると障害が多く残る可能性が高くなってしまいます。生存率は上がったが手足に大きな障害が残ったのでは困ります。だからと言って摘出が少なくて生存率が下がるのも困ります。

全身麻酔の場合、どの程度障害が残るのかは麻酔から覚めた後にならないとわかりません。なので、この2点を両立させることが難しいそうです。しかし、覚醒下であれば脳を切ったことによる影響を手術中に確認できるので、どの程度障害が残りそうなのかがすぐに把握できます。なので、障害を許容範囲ギリギリまで抑えながら、腫瘍を最大限摘出するということが可能になります。ただ、いつの間にか終わっている全身麻酔での手術と違い、摘出中に意識があることによる恐怖心などの精神的な負担があるというデメリットもあります。

覚醒下手術については、こちらのホームページ(高次脳機能温存・改善のための脳神経外科手術)も御覧ください。僕が手術を受けた東京女子医大でなく金沢大学のホームページですが、こちらのほうがわかりやすく説明されていたのでこちらを掲載します。

脳腫瘍の覚醒下手術をすることを決意

女子医大で手術することは決めましたが、それとは別に治療方針を決めないといけませんでした。女子医大で手術をするからといって必ず覚醒下手術をしなければいけないというわけではありません。全身麻酔での手術も受けられます。先生からは覚醒下手術を提案されましたが、どちらを選ぶかは患者側が決めれます(実際は患者の意思を聞いた後、再度、医療チーム側でも覚醒下手術が可能かどうか判断するそうです)。

自分自身も覚醒下手術をすることを想定して転院したのですが、いざ決断するとなるとやはり恐怖心が湧いてきてしまいます。自分は覚醒下での手術に耐えられるのだろうか?パニックにならず気持ちを安定させられるのだろうか?という考えが頭の中をぐるぐると巡ります。転院を決めてからどのような方法で手術するかの意思を伝えるまで数週間ありましたが、ずっと恐怖心との戦いが続いていました。

でもそのような時は「もしも覚醒下手術を行わず数年後に再発したら、未来の自分は覚醒下手術にチャレンジしなかったことを後悔しないだろうか?」と自分に問いかけ続けました。答えは決まって「チャレンジしないと後悔する」でした。

覚醒下手術をしても再発しないわけでわありません。ただ、再発の確率を下げられるチャンスがあるのに恐怖心に負けてチャレンジしないのは後悔の元となるのではないかと考えました。今思えばこのようなことを繰り返したことでだんだんと気持ちが固まっていったんだと思います。そのおかげかわかりませんが覚醒下手術をすることを先生に伝えて以降は迷うことはなく自分がしなければならないことに集中できていたと思います。

希望のある方を選ぶ

覚醒下手術を行うということにまだ少し迷いがあった頃、ある本を読んでいて次のような一節に出会いました。

波に乗るか乗らないかと二者択一できるときもあります。その場合には必ず明るい方を選ぶようにしています。人生はいろんな選択の連続ですが、仕事においても同じ。デザインしていく中でもふたつのデザインの方向性があれば「こっちの方が明るい」と感じる方を選ぶ。それは単に色が綺麗とか、見るからに楽しそうということではなく、どこかしら希望のある方を選ぶ、ということです。

「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」(森本千絵著)

当時の自分は、この一節にとても勇気付けられました。そして決断を後押ししてくれたと思います。「希望のある方を選ぶ」何かに迷った時は今でもこの言葉を思い出します。

この記事は個人の体験に基づいて書いたものです。病状などは人それぞれ異なるものなので、気になることがあったら必ず、主治医に確認してください。本ページについてご質問等ありましたらお問い合わせページからお願いします。

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