「つゆだく」とは言わないと決めた日

牛丼屋で、僕は「つゆだく」と言って注文したことがない。ある時「つゆだく」は絶対に使わないようにしようと決めたからだ。

それは、僕が大学生だった頃。今から20年以上前の話。

当時、僕はHeyHeyHeyという音楽番組が好きで毎週欠かさず観ていた。

その日は、人気絶頂の華原朋美がゲストだった。彼女が最も調子に乗って浮かれていたのがこの頃だろう。

ダウンタウンとのトークで、華原朋美は、牛丼のつゆを多めにして欲しい時には「つゆだく」と注文するのだと得意げに語っていた。ダウンタウンの二人は初めて聞いたといった感じで驚いていた。

その言葉は僕にとっても初耳だった。当時はまだ「つゆだく」を使っている人はほとんどいなかったと思う。

おそらくこの言葉はこれから流行るんだろうなと、その時の僕は思った。当時の華原朋美は、それくらい影響力があったからだ。実際、流行どころか定着するまでになったのだから、すごい影響力だ。

ただ僕は、この言葉を知ったと同時に絶対に使わないと決めた。

華原朋美が嫌いだったというよりかは、浮かれた感じの人が使う言葉が嫌いだったからだ。

若い人の間で流行っているとか、ネットで流行っているといったものに多く見られる浮かれた雰囲気をまとっているものが、僕はあまり好きではない。

「つゆだく」は、その時ものすごく浮かれていた華原朋美が発した言葉だったので受け付けなかったのだろう。

平成が終わり、時代を振り返る系の番組で華原朋美を見たからか、ふとそんなことを思い出した。

時代は変わったけど、たぶん僕は変わらず「つゆだく」を使わないままでいると思う。

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