おじいさんを助けて思ったこと

家に帰る途中、いつものようにコンビニに立ち寄って帰ろうかな〜とか考えながら歩いていると、向こうからよろよろと歩いている7,80代くらいのおじいさんがいました。

なんだか危ういな〜と思いながら見ていたら、そのおじいさんは、ゆっくり座り込むように倒れてしまいました。

びっくりした僕はそばに行って「大丈夫ですか」と声をかけました。近くにいた女性も寄ってきて同じように「大丈夫ですか」と声をかけていました。

おじいさんは「大丈夫、大丈夫、家はすぐ近くだから」と言うのですが、なかなか立ち上がれず座り込んだままでいます。家族に連絡できないかと聞いたりしたのですが、奥さんがいるけど家から出られないということでした。なんとなく家族の助けは期待できないのかなと思いました。

どうしたらいいのかなと困りながらも、僕はその女性と救急車を呼ぶか警察を呼ぶか話し合っていました。

その間にも、歩道にある石でできた円柱状の車止めのようなものにしがみつきながら、おじいさんも立ち上がろうとしていました。でも、なんとか立ち上がって数歩歩いたと思ったら、またへなへなと座り込んでしまいます。

ちょっとお酒を飲んだとおじいさん自身が言っていたので酔っ払っているだけのような感じもあったのですが、認知症とかだったりするのかなという考えが僕の頭には少しあったし、本人は這ってでも帰れると言うのですが、さすがにそのままにはできないし。

ということで結局、家が近くにあると言っていることと意識はそれなりにちゃんとしていることもあって、救急ではなく警察に連絡して助けてもらうことにしました。

しばらくして警察官がやってきました。

警察官は、事情を聞いたあと、おじいさんを家まで脇を支えながら送ってくれました。おじいさんが言っていた通り家はすぐそばで、40mくらい行ったところにありました。意外とすんなり移動できたので、ホッとしました。その後、警察官から少し話を聞かれ、その場は解散となりました。

僕はこの一連の出来事の間、おじいさんに自分の姿を重ねて見ている感覚がありました。僕自身も発作等で倒れてしまう可能性があるわけで、いつ助けてもらう側になるかわかりません。そういった不安は、常に僕の頭の片隅にはあります。

僕自身は積極的に人助けをしたり困ってそうな人に声をかけたりするタイプではないということもあり、こういったかたちで人助けをしたのは初めてでした。

ただ、そんな自分が助けなきゃと思ったのは、さすがに助けないというわけにはいかない状況だったということもありますが、もしかしたら、倒れることがあるかもしれない自分の姿をそこに見たからなのかなという風にも感じました。

なんだか近ごろ、自己責任論などというものを耳にすることも多いです。ただ、少なくとも日本で暮らしている場合は、すべての人が社会によって守られているわけで、誰の助けも受けずに生きられるなんてことは誰一人としてありません。

僕は、あまり人に迷惑をかけずに生きていきたいという考えが強い傾向にあるのですが、そういった考え方が強すぎるのもどうなのかなと今回の件を通して考えさせられました。

将来のことを考えると、人に手助けしてもらわないといけない時期がどうしても来てしまうと思います。一生迷惑をかけずに生きていくなんてことはあまり現実的でなさそうです。

あまり固く考えずにもう少し力を抜いて、僕に余力があるときは誰かを助けて、困ったら誰かに助けてもらう、そういった心持ちでいられたらいいのかなというふうに個人的には思いました。