先日、ネット番組で医療用大麻解禁に賛成か?反対か?について議論をしている動画を見ました。ときどきメディアなどでも取り上げられているテーマなので、こういった問題があるということを聞いたことがある人も少なくないと思います。
僕自身も、がん治療にも役立つ可能性があるらしいということは知ってはいたので、この件についての興味は多少ありました。
ただ何が問題なのかはよくわかっていませんでした。賛成でも反対でもなく、なんとなく治療に有効なら医療用として手段の一つに加えてもいいかもくらいの認識でした。
でも、動画を見れば少しは理解が深まるかと思ったのですが、いまいち納得いく情報を得られませんでした。この手の番組にありがちな、自分の主張だけを一方的に言って相手の質問に全く答えないような感じであんまり参考になりませんでした。
ということで、簡単にですけどちょっと自分で調べてみることにしました。
日本医事新報社の記事(医療用大麻とは)より抜粋
わが国では,大麻は大麻取締法の厳しい法規制下にあり,大麻から製造された医薬品を用いることはできず,たとえ医療用であっても使用,輸入ならびに所持は禁止されている。
現在,がん疼痛治療はWHO推奨の方法で行うのが通常であり,モルヒネなどの麻薬を中心とした治療が行われる。しかし,モルヒネは,がん患者の約30%にみられる神経因性疼痛に対して有効性が低いことが知られている。サティベックス(サティベックスとは天然の大麻抽出物のこと)は,この神経因性疼痛の軽減に有効である可能性が示唆されている。
緩和ケア医師が書いた記事(医療大麻は本当に効くのか? 緩和ケア医が解説。)より抜粋
医療大麻の手を借りずとも十分な症状緩和が可能な場合は多くあります。ここに新たに大麻の派生薬が加わった時に、あるいは組み合わされた時に、さらなる効果を得られるかというところが大切であり、「がん領域において、既存の薬は総じていまいちなので、それらを押しのけて医療大麻が最大の解決になる」というわけでも現状はないのです。
大麻から抽出した成分を利用した薬も人に使えないというのは初めて知りました。これらの記事を読むまでは、効果がある成分がわかっているならそれを利用した薬を作ればいいだけなんじゃないの?と思っていたので、それができないというのは意外でした。たしかにその部分に制限があるのは問題がありそうな気もします。
ただ、これらの記事を見る限りでは、大麻の医療利用についてはまだまだ研究段階であり、賛成派の人が主張するほどの有効性はまだ確認できてなさそうだなという印象も受けました。そもそも研究することすらままならない状況なのに、医療用に有用だから解禁すべきだという主張は根拠に乏しい気がします。
ということで、とりあえずの結論としては、医療利用のための研究は進められるようにした方が良いけど、現段階では(医療用としても)大麻自体を解禁して流通させる必要性は感じないかなというのがこの問題に対する僕の意見ということにしようかなと思います。
2023年4月追記
法改正により大麻から製造した薬の利用が可能になる方向に進んでいるようです。
読売オンラインの記事(大麻草から製造の難病治療薬が使用可能に、法改正案が判明)より