これは、脳のがんとも言われる脳腫瘍(G2、乏突起膠腫)を患ったときの体験記です。2015年7月に脳腫瘍の覚醒下手術をするため、東京女子医大に入院しました。初めてだったこともあり、わからないことだらけでバタバタした状態での入院となりました。ここでは、入院日の連絡を受けてから入院するまでと、手術の説明の様子などについて書きたいと思います。
(※覚醒下手術というのは意識がある状態で腫瘍の摘出を行う手術のことです。参考までに、こちらの記事もどうぞ。)
入院日の連絡が前日に来て慌てる
入院手続きをした際、入院日は7月1日から3日のどこかになると言われていました。正式なスケジュールは決まったら別途連絡をくれるとのことでした。前の週までには連絡が来るのかなと思っていたのですが、入院する週の月曜日(6月29日)になっても連絡がなく、落ち着かない気持ちのまま待つことになりました。さすがに前日に連絡が来ることはないだろうと考えていたので、入院は週の後半になるのかなと予想してました。
ところが次の日(6月30日)の午前中、病院から電話が来て、明日から入院してくださいと言われました。7月1日から3日のどこかと言われていたので間違ってはいないのですが、前日の連絡には少し慌てました。
入院日が決まって、その日は家にいると落ち着かなさそうだったので、気分転換に外出することにしました(ちなみに仕事は月曜から休みにしていました)。そして入院生活に必要そうなものを買い足してみたり、カフェでくつろいだり、夕方には友達に誘われてご飯食べに行ったりして過ごしました。明日から入院という状況だったのでもう少し緊張するかと思いましたが、なんだかんだでリラックスできていたと思います。
ドキドキの入院初日
入院日(2015年7月1日)。昼過ぎの入院受付時間に間に合うように病院に向かいました。途中の新宿駅では、お昼ごはんに京都料理の和食を食べました。何も考えずに立ち寄ったお店でしたが、これが病院外で食べる最後の食事になる可能性もあるんだなぁと、ふと思ってしまいました。もう少しちゃんと選んんだほうがよかったかなとも思いましたが、退院して戻ってきて、また美味しいものが食べられるようになるから大丈夫だと考え直しました。
東京女子医大に到着して、入院手続きをするために外来センター1階にある入院受付に向かいました。とうとう始まるんだなという思いからか、すごくドキドキしたのを覚えています。
受付を終えて脳外科の病室がある西病棟Bの5階に向かいました。ナースステーションに着いて今日入院する予定の者ですと伝えると、スタッフの方が病室まで案内してくれました。病室は広めの2人部屋でした。入院手続きをする際、個室、2人部屋、4人部屋、大部屋の中から第3希望まで希望を出せるのですが、第1希望だった4人部屋は空きがなく第2希望になりました。
2人部屋はもう一人の方と相性が悪いと気まずくなるといったことが体験談に書いてあるのを読んだことがありました。なので一瞬大丈夫かな?と少し不安になりました。だけど実際は、カーテンで仕切られていてあまり顔をあわせることもなく、プライベートな空間が保たれていたので、気まずくなることもなく過ごすことができました。ただ2人部屋だと人の出入りとかも少ないので、静かすぎてちょっと寂しいなと思うことはありました。うるさいのは困りますが適度に音があった方が気が紛れて良かったようにも思います。
主治医から手術前の説明を受ける
手術の説明は入院した日の夕方に行われました。主治医の先生からはまず、術後10年間を元気に暮らせられる状態にすることを目標にする、と言われました。と同時に先生は「大丈夫、成功させる」と力強く宣言してくれました。10年より先のことについては、予測できるものでもないし他の病気になってしまう可能性もあるのでとりあえず今は考えないという話でした。
他にも、手術に向けての説明としては次のような話がありました。僕の場合はグレード2であることが予想されること。95%以上を摘出し生存率を上げることを目指すということ。それができれば10年生存率は80%、20年生存率50から60%が期待できるということ。腫瘍が運動野に隣接している箇所にあるため、その部分を摘出すると手術後は運動機能が低下するが、リハビリをすればほとんど回復するだろうということ。ただし術中の簡易検査でグレード3が疑われる場合は、運動機能を犠牲にしても生存率を優先させて積極的に摘出しにいくということ。あとは手術における合併症リスクについての説明や覚醒下手術が上手く遂行できない場合の原因(覚醒状態の低下、発作、吐き気など)と、その対策について。
また、覚醒状態を維持するためにも十分な睡眠をとることが大事という話や、手術ができなくなるため風邪などをひかないように気をつけることといった注意も受けました。初日はもう少しゆったりと過ごせるかと思ったのですが、手術の説明を聞いて、ついに始まったかと気が引き締まる思いがしました。